2019年12月16日月曜日

アピモンディア2019INカナダ/「研究編」


ブログ管理人/中野です。不定期シリーズ
「ミツバチ課の養蜂雑記 特別編成/アピモンディア2019」 
【ApiExpo編】https://api-beeblog.blogspot.com/2019/09/2019inapiexpo.html
World Beekeeping Award編①https://api-beeblog.blogspot.com/2019/10/2019inworld-beekeeping-award.html
World Beekeeping Award編②https://api-beeblog.blogspot.com/2019/10/2019inworld-beekeeping-award_25.html



戦略開発部/秦くんよりアピモンディアレポート最終回となる第5弾、
「研究編」届きました秦特派員~ 長期間の連載ありがとうございました!!

======================================



ゲスト記者の戦略開発本部の秦です。
アピモンディアに参加してから早くも3ヶ月以上過ぎてしましました。

本日は最終回「研究編」をお送りしたいと思います。

 

<自分の発表>

そもそもアピモンディアには、自分の研究を発表するために参加しました。研究内容は、ローヤルゼリーを初めて食べた時にアレルギーが起きる例の「謎」を解明したものです。

 

「アレルギー」というのは、ふつう身体が花粉などに触れて(曝露)、本来は病原菌などに対抗するための抗体が間違って害のない花粉にも作られてしまうこと(感作)が原因です。そのため、ローヤルゼリーをたくさん食べていたり、化粧品として使っていたりする人が、何らかの原因で誤ってアレルギーになってしまうことは、可能性としてはあり得ることなので、それほど不思議ではありません。

 

ところが、世の中にはなぜか初めてローヤルゼリーを食べた時にアレルギー症状が出た!という不思議な例が僅かですが報告されています。一度も食べたことないのに、なんで?という感じです。

 

これを解明するために研究をした結果、ダニなどにアレルギーがある人のごく一部の人が、ローヤルゼリーにもアレルギーを起こす可能性があることが分かりました。ダニに対する抗体がローヤルゼリーにも反応するためです(交差性といいます)。ローヤルゼリーの商品には「アレルギー体質の人はお控えください」と書かれていることが多いですが、その原因のひとつは「ダニに対する抗体がローヤルゼリーにも反応してしまうことが稀にあるから」ということだったのです。ごく一部の人だけだと思われますが、やはりアレルギー体質の人は食べるときに注意した方が良いのかもしれません。

 

このような内容を発表してきました。

 

発表の様子はこんな感じです。


 

<ほかの発表>

せっかくですので、個人的に気になった他の発表も少し紹介します。

 

・偽はちみつについて

蜂蜜への異性化糖などの添加に関する発表は複数ありました。アピモンディアが偽はちみつに関する声明を出したこととも関連するのでしょうか?偽はちみつを見つけるための汎用的な方法はないという話がありました。様々な方法、NMR、(LC-EA-IRMS(元素分析 / 同位体比質量分析)、オリゴ糖分析、顕微鏡観察を組み合わせる必要があるということでした。なかなかイタチごっこが終わりませんね。

 

・ローヤルゼリーは、無自覚な過体重者への効果

ランダム化二重盲検プラセボ対照試験という、最もレベルの高いヒト試験をされていました。血中コレステロールの低下などが報告されていました。顕著な効果というわけでもなさそうでしたが、ローヤルゼリーを使った臨床試験はそれほど多くないので、貴重な研究結果だと思います。どうやら、論文にもなっているようです。


 

・ミツバチの健康における栄養と腸内細菌と育児蜂の影響

ミツバチの寿命に対する、餌の栄養と腸内細菌と育児蜂の有無の影響が調べられた非常に興味深い内容でした。一番大きいのはやはり餌の栄養だそうです。検討された中では蜂蜜+花粉>ラクトアルブミン群>スクロース群で影響が大きかったそうです。やはり、蜂蜜+花粉が彼らにとって一番適した餌ということでしょうか。その次に、腸内細菌叢の影響が大きかったようです。抗生物質で腸内細菌をダメにしてしまうと寿命の短縮がみられていました。育児蜂がいるかどうかは寿命には影響しなかったとのことでした。弊社が取り扱っている「ミツバチぐんぐんケストース」も腸内細菌からミツバチの健康をサポートするものなので、それが重要なことが分かってよかったです。しっかりと栄養を与えて、健康な腸内細菌叢にしてあげることがミツバチを元気にする秘訣なのかもしれません。

 

 

私が所属している研究所は、蜂産品がどうヒトの健康に作用するかに注目することが多いので、いつもそのような研究発表ばかり聞いていたのですが、今回は比較的違う分野の発表も聴講しました。ミツバチの腸内細菌の研究がこれほどされているとは知らなかったですし(他にもいくつもありました)、ミツバチの経済学とか生態学とかもありました。ミツバチに関わることが、学問的にも商業的にも分野を超えて議論されているのをみて、改めてミツバチとヒトとの関わりの深さを感じました。

 

今回でひとまずアピモンディア編は終了です。次回のロシア・ウファでのアピモンディア2021年は参加できるか分かりませんが、これからも研究成果の発信や世界情勢の情報収集ができればと思います。

 

5回にわたりお付き合い頂きありがとうございました。

0 件のコメント:

コメントを投稿