2020年1月21日火曜日

ダニ駆除用プラスチック雄峰巣礎枠


本日は坂本の担当です。


今日はダニ駆除用プラスチック雄峰巣礎枠という商品のご紹介です。


現在、世界中で養蜂家を悩ませている、ミツバチヘギイタダニ。
ミツバチに寄生して弱らせるだけでなく、様々な病原菌も媒介する困り者です。


このダニへの対策は薬剤を中心にいろいろとありますが、
今回ご紹介する商品は、ノンケミカルでミツバチにも人にも優しく、
ハチミツへの残留も無いという特徴があります。

化学的な薬で殺すのではなく、
ミツバチヘギイタダニが、
雌バチ(働きバチ)の幼虫より雄バチの幼虫を好んで寄生する、
という性質を利用するのです。


下の写真は一般的な巣板上に作られた雄バチの蛹と
雌バチ(働きバチ)の蛹を外から見たものです。

雌バチの蛹の上にかけられた蓋は平らですが、
雄バチは体が大きいために、蓋が膨らんでボコボコして見えます。



















雄バチと雌バチでは蛹の期間の長さが違います。
雌バチは12日ですが、雄バチは15日。3日ほど長いのです。

ミツバチヘギイタダニは蓋をかけられた蛹に卵を産んでいきます。
つまり、蛹の期間がより長い雄バチに寄生したほうが、多くの卵を産めます。

多くの子孫を残せる方が有利であるため、雄バチを好むのです。


このことを利用して、
雄バチの蛹を人為的に作らせ、
そこにミツバチヘギイタダニをおびき寄せ、
集まったところを一網打尽にしてしまおう!
という作戦です。




こちらがダニ駆除用プラスチック雄峰巣礎枠↓




















アメリカからの輸入品ですので、
日本製の巣箱に入れると若干大きいです。


プラスチックで成形された巣枠・巣礎の上に蜜蝋が塗ってあり、
ミツバチがなじみやすくなっています。


さて使い方ですが、
まずは蜂群の中、巣箱内に他の巣板と同様に挿入します。



















写真は夏の終わりで、ミツバチの数が少なくなっていた状況で使用したため、
卵を産みやすく幼虫を育てやすいように巣の中心に置いています。

春の産卵シーズンであれば端の方でも使用できます。


13日後に出したものが下の写真です。


















巣板の中心部から、蜜蝋で巣を盛り上げて産卵し、幼虫を育てています。

卵も見やすく、こんな感じです↓


















さらに2週間ほど経つと、このようになります↓
 


















全ての幼虫が蛹になり、早いものは成虫として羽化する直前です。

蜜蝋の蓋を剥がしてみるとこんな感じ↓


















まだ白い雄バチの蛹が見えます。


ここまで来たら、雄蜂巣を抜き取ります。
この雄バチの蛹の中にミツバチヘギイタダニがおびき寄せられているはず。

巣を抜き取って蜂を掃ったら、
冷凍庫に1日入れておくことをオススメします。
そうすることで、巣の中に潜むミツバチヘギイタダニが完全に死にます。


その後は、掃除を行います。

まずは蜜蝋の蓋を取り除くことから。
蜜刀や包丁、カッターナイフで表面を削ってもよいですが、
今回は以前にご紹介しました、蜜蓋取り器を使いました。

アンキャッピングハロー“ターボプロ イノックス”



















蓋が取れたら蛹を取り出します。
ホースで水流を垂直にかけると取りやすいですよ。



















幼虫(と寄生しているダニ)を掃除したら、
水をはらってまた巣箱の中に入れ、同じことを繰り返します。


何度も繰り返し使えるのも、経済的で良いところです。

今回は夏の終わりに使いましたが、
やはり本来は春の産卵シーズンが一番使いやすく、効果も高いです。

ダニの薬剤抵抗性に悩まれる方、薬を使わないダニ対策に興味のある方は
ぜひ一度お試しください。

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