2022年8月31日水曜日

なるほど!これはエサやり革命です!簡単便利な新商品

 皆様こんにちは。森田です。

今回は花粉交配用ミツバチをご利用の皆様に大変便利な新商品をご紹介いたします。

その名も『らくらく蜜箱』です。

らくらく蜜箱 本体

花粉交配用としてミツバチをご利用頂く際はエサを与えて頂く必要があります。
この新商品『らくらく蜜箱』はそのエサやりの作業負担を軽減するための「なるほど!」なアイデア商品です。

本来ミツバチは巣箱から半径2~3㎞の範囲を飛び回り、様々な花から花蜜と花粉を集めてエサとしています。
ところが圃場、特にビニールハウスでは限られた空間であることや花が少ないことなどからエサが不足しがちです。エサが不足するとミツバチの活性が落ちますし、餓死してしまうこともあります。
それを防ぐためにエサを与えて頂く必要があるのです。

そもそもミツバチのエサには2つあります。①糖液と②花粉です。
糖液はミツバチのエネルギー源になりますし、花粉はタンパク源になります。
花粉交配専用ミツバチ『らくらく交配シリーズ』のエサやりは巣箱の天窓から行う事ができる構造になっています。
糖液は天窓から注ぎ入れ、花粉は天窓の網の上に置くだけです。
現状でも簡単にエサやりが可能なのですが、今回のらくらく蜜箱』は糖液給餌がさらに簡単になります。

使い方はとっても簡単です。キャップを外してポンと置くだです。
あとはミツバチ自身が糖液を吸いに来ます。

キャップを外す

糖液の香りに誘われてミツバチが飛来

置き場所は圃場のどこでも構いません。
巣箱の上に置いても良いですし、あえて巣箱から遠く離して圃場内を飛び回らせて訪花を促進させても良いと思います。
大きさは縦30cm×横20cm×高さ7cm程度ですので場所を取りません。


このダンボール箱の中に糖液が約800g入っています。ミツバチの食欲にもよりますがご使用期間は約1ヶ月程度とお考えください。
中身の糖液が空になったらお取替えください。
ダンボール箱にはのぞき窓がありますので中身の減り具合が確認できます。
また青いプレートにも意味があります。
青色はミツバチが認識しやすい色であると言われていますので圃場に置かれた『らくらく蜜箱』を発見しやすくする効果があります。

キャップを外してポンと置くだけの簡単便利な商品です。
ミツバチを複数箱導入している方はエサやりにかなりのお手間をかけていると思いますので大変オススメです。
またお忙しくてエサやりを忘れてしまう方にもオススメです。

発売されたばかりの新商品です。
是非一度お試しください。

ではまた。



2022年8月26日金曜日

夏の終わり、大雨

皆様こんにちは。

ミツバチ課の坂本です。


道端から、クサギのおしろいの様な甘い香りがしてきました。

草むらからは何種類もの虫の声が聞こえ、たくさんのトンボが風に乗って空を舞っています。

まだまだ暑いものの、すっかり晩夏の空気ですね。 

クサギの花。花は甘い香りですが、葉をちぎるとクサいのでこんな名前です。

こちらはヘクソカズラ。同じく葉や茎がクサ~いためスゴイ名前に…!

小さな茶色いバッタ。ヒナバッタという名前だそうです。


最近は岐阜でも雨が多く、昨日8/25は夕方から凄まじい雷雨でした。

夜には降りやんだので事なきを得ましたが、大雨警戒レベル3が出るほどです。

養蜂場の入り口も水たまりだらけです。

養蜂場のある川島町は両側を川に囲まれていて、その名の通り「川」の中の「島」です。

そのため、大雨や河川の増水は私たちにとってちょっと恐ろしいキーワードなのです。

すぐ横を流れる木曾川。雨の割に今朝はそれほど増水していませんでした。

天気予報によると、まだ来週も雨が続くようです。

どこの地域にも大雨の被害がありませんように。

皆様もどうぞお気を付けください。

堤防から眺める138タワー


2022年8月12日金曜日

発泡スチロール製の巣箱カバーは真夏に使用できるか検証

 皆様こんにちは。森田です。

今回は花粉交配用ミツバチ『らくらく交配シリーズ』の巣箱カバー『ミツバチホーム』を紹介いたします。


『ミツバチホーム』は発泡スチロール製(EPS製)です。
『らくらく交配』巣箱がすっぽり入る構造になっています。

保温性、機能性、使い勝手、品質などの面でレベルが高く巣箱カバーのハイエンドモデルに位置付けられています。

これまでアピでは冬場の防寒対策として『ミツバチホーム』を推奨して参りました。保温性の高い発泡スチロールですので寒さの影響でミツバチの飛びが悪くなることを防ぐためには有効です。




しかし今回は夏の暑い季節における有効性を検証いたしました。

実際に『ミツバチホーム』を使用した場合としなかった場合を比較試験してみました。

大変興味深い結果が得られましたよ。

ご協力頂いたのは製造元であるトーホー工業株式会社様です。

トーホー工業株式会社様は発泡スチロール製品の革新的なメーカーで、ありとあらゆる物を発泡スチロールで製造しています。最近では新型コロナウイルスのワクチン用輸送箱製造で社長の心意気と粋な計らいがメディアに取り上げられていましたのでご存知の方も多いと思います。

【巣箱カバーの必要性】

働き蜂は様々な仕事をしていますが、その中でも子育ては優先順位の高い仕事です。

巣の中にいる子供達(サナギ、幼虫、卵)の成長を促すために一定の温度を保つ努力をしています。

寒くなれば働き蜂は身を寄せ合っておしくらまんじゅうのようにして温度を上げますし、暑くなれば羽をはばたかせて扇風行動したり打ち水をして気化熱で冷やします。

花粉交配用としてミツバチを利用する場合、子育ての仕事が忙しくなると訪花しなくなりますので受粉に影響が出る事もあります。

従って働き蜂の仕事を減らすために人の手で快適な温度を保てるような処置を施してあげると良いでしょう。

例えば寒冷紗などで直射日光を避ける、ある程度風通しの良い場所に置く、農薬などで汚染されていないきれいな水を準備する、などです。

『ミツバチホーム』は発泡スチロールという素材の特性上、昼夜の温度変化の影響を受けにくいとされていますのでその辺りを検証してみました。

【検証方法】

検証方法は至ってシンプル。

ミツバチ入り巣箱を用意し、『ミツバチホーム』に入れて飼育した場合と、入れずに飼育した場合を比較し、巣箱内の温度推移、ミツバチの成虫・蜂児(サナギ・幼虫・卵)の状態、巣箱内の状態をモニタリングしました。

 検証期間:2021年6月3日~9月9日 約3ヶ月間

 検証場所:岐阜県美濃地方 屋外日陰なし 地面に育苗シートを敷いて巣箱を置く

 検体:らくらく交配シリーズの巣箱に入れた同等の内容のミツバチ(成虫約8000匹、蜂児約4000匹入り)を2群用意し、ひとつをミツバチホームに入れ、もうひとつは裸の状態とした。


岐阜県美濃地方の夏は日本でも一位、二位を争う暑い場所です。2021年の夏も暑かったぁ。

そんな過酷な場所に巣箱を設置しての検証となりました。

ミツバチホームに入れた巣箱

ミツバチホームに入れなかった巣箱

【得られたデータ】

●温度推移



折れ線グラフは検証期間の一部を抜粋したものですが、下の表は検証期間約3ヶ月間をとおした最高気温と最低気温を示したものです。

『ミツバチホーム』を使用すると最高気温と最低気温の差が少なく、温度の上昇/低下を抑えることができています。

すなわち巣箱内の温度を一定に保つ効果があると判断いたします。

●ミツバチの状態

検証開始から3ヶ月後の写真です。

ミツバチホーム使用 成虫の数 多

ミツバチホーム使用 蜂児 多

ミツバチホーム未使用 成虫の数 少

ミツバチホーム未使用 蜂児なし

検証を始めた時は共に成虫は8000匹程度、蜂児は4000匹程度いたにも拘らず、3ヶ月が経過すると差は歴然となりました。

『ミツバチホーム』を使用した群はおおよそ成虫5000匹いました。一方で未使用の群はおおよそ成虫1000匹まで減っていました。

また特筆すべき点は蜂児の数です。『ミツバチホーム』を使用した群の方が圧倒的に多いです。

蜂児は次の世代の働き蜂ですので、花粉交配用としての使用期間に大きく差が出る事は間違いありません。

ミツバチの数に差が出た要因として考えられることは女王蜂が休卵しなかったのではないかと推測できます。

女王蜂は毎日卵を産みますが、夏場や冬場は産卵をやめる(休卵)ことがあります。

しかし『ミツバチホーム』を使用することで巣箱内の温度が一定に保たれて暮らしやすい環境であった為に休卵しなかったのではないかと考えます。

●巣箱内の状態

『ミツバチホーム』を使用しなかった巣箱の中には少量の水が溜まっていて湿気が多くカビが発生していました。恐らく雨水が巣箱内に侵入したことによるものと考えられます。

一方で『ミツバチホーム』を使用した巣箱の中には水は溜まっていませんでした。多少湿気はありましたがカビの発生はありませんでした。

また『ミツバチホーム』の中にも水は溜まっていませんでしたので雨よけとしても使用できると確認できました。

【検証結果】

①『ミツバチホーム』を使用することで巣箱内の温度上昇・低下を抑制する効果があると確認できました。これはミツバチが暮らすうえで快適な温度帯を維持することができると言えます。その裏付けとして成虫の数、及び蜂児の数が維持されていました。

②『ミツバチホーム』を使用することで雨避けとしての効果があると確認できました。

【結論】

花粉交配用としてミツバチを使用する場合、受粉を円滑に行ってもらうためにミツバチが快適に暮らせる温度を維持することが重要であり、そのために『ミツバチホーム』を利用することは有効であると言えます。今回の検証で『ミツバチホーム』は年間通してご利用頂けると確認できました。

らくらく交配シリーズをご利用の際は合わせて『ミツバチホーム』をお使い頂くことをお勧めいたします。

『ミツバチホーム』にはらくらく交配巣箱を入れたまま持ち運びできるよう持ち手紐がついていますし、出入口開閉シャッターも装備されていますので使い勝手も良好です。

ハウスの中でも露地でもご使用頂けますので是非ともご検討ください。

ではまた。













2022年8月1日月曜日

皆様お久しぶりです。藪田です。

川島養蜂場の本日の気温です。

連日の猛暑で人間もミツバチも働いた後はへとへとになってしまいますね。その疲労を少しでも和らげるために現場ではこんなことを行っています。

巣箱の置き場所。

猛暑が来る前に予め日陰に巣箱が残るような出荷段取りを組み、最後に残ったものも全て日陰に移動させ夏をしのぎます。日向と日陰では目に見えて蜂の残り方が違いますし、木陰特有の風通しの良さは作業をする人間にも非常に心地よいものとなっています。
次は雑草対策

夏場は管理群が減るので、このように余ったビーボックスを養蜂場内に敷き詰めて草を生えなくしています。
また、こんな感じで防草シートを敷いて同様に雑草対策をしているエリアもあります。

この時期は雑草の生育スピードも速く、刈っても刈ってもまたすぐに生えてくる状態でしたが、これらの手法を導入してから「地面」の管理がとても楽になりました。

そんな暑い中の管理ですが、自然という環境故の楽しみもいろいろあったりします。

それがこちら。
ある日、地面からバレーボールのようなものが生えていました。

サイズ感はこんな感じ。
とにかくデカいです。

これは実は「オニフスベ」というキノコです。
試しに切ってみると中はこんな感じ。スポンジのような質感です。

図鑑やネット情報では食べられるそうなので、この後に別の課の先輩にプレゼントし、調理して食べた感想を聞いてみたところ、総合評価「とてもまずい」とのことでした...

最後に、先週の現場で発見したちょっとまだら模様で面白い色彩をしたハラビロカマキリの幼虫を載せて終わりにします。
文章・写真 藪田