皆様こんにちは。森田です。
今回は花粉交配用ミツバチ『らくらく交配シリーズ』の巣箱カバー『ミツバチホーム』を紹介いたします。
『ミツバチホーム』は発泡スチロール製(EPS製)です。
保温性、機能性、使い勝手、品質などの面でレベルが高く巣箱カバーのハイエンドモデルに位置付けられています。
これまでアピでは冬場の防寒対策として『ミツバチホーム』を推奨して参りました。保温性の高い発泡スチロールですので寒さの影響でミツバチの飛びが悪くなることを防ぐためには有効です。
しかし今回は夏の暑い季節における有効性を検証いたしました。
実際に『ミツバチホーム』を使用した場合としなかった場合を比較試験してみました。
大変興味深い結果が得られましたよ。
ご協力頂いたのは製造元であるトーホー工業株式会社様です。
トーホー工業株式会社様は発泡スチロール製品の革新的なメーカーで、ありとあらゆる物を発泡スチロールで製造しています。最近では新型コロナウイルスのワクチン用輸送箱製造で社長の心意気と粋な計らいがメディアに取り上げられていましたのでご存知の方も多いと思います。
【巣箱カバーの必要性】
働き蜂は様々な仕事をしていますが、その中でも子育ては優先順位の高い仕事です。
巣の中にいる子供達(サナギ、幼虫、卵)の成長を促すために一定の温度を保つ努力をしています。
寒くなれば働き蜂は身を寄せ合っておしくらまんじゅうのようにして温度を上げますし、暑くなれば羽をはばたかせて扇風行動したり打ち水をして気化熱で冷やします。
花粉交配用としてミツバチを利用する場合、子育ての仕事が忙しくなると訪花しなくなりますので受粉に影響が出る事もあります。
従って働き蜂の仕事を減らすために人の手で快適な温度を保てるような処置を施してあげると良いでしょう。
例えば寒冷紗などで直射日光を避ける、ある程度風通しの良い場所に置く、農薬などで汚染されていないきれいな水を準備する、などです。
『ミツバチホーム』は発泡スチロールという素材の特性上、昼夜の温度変化の影響を受けにくいとされていますのでその辺りを検証してみました。
【検証方法】
検証方法は至ってシンプル。
ミツバチ入り巣箱を用意し、『ミツバチホーム』に入れて飼育した場合と、入れずに飼育した場合を比較し、巣箱内の温度推移、ミツバチの成虫・蜂児(サナギ・幼虫・卵)の状態、巣箱内の状態をモニタリングしました。
検証期間:2021年6月3日~9月9日 約3ヶ月間
検証場所:岐阜県美濃地方 屋外日陰なし 地面に育苗シートを敷いて巣箱を置く
検体:らくらく交配シリーズの巣箱に入れた同等の内容のミツバチ(成虫約8000匹、蜂児約4000匹入り)を2群用意し、ひとつをミツバチホームに入れ、もうひとつは裸の状態とした。
岐阜県美濃地方の夏は日本でも一位、二位を争う暑い場所です。2021年の夏も暑かったぁ。
そんな過酷な場所に巣箱を設置しての検証となりました。
ミツバチホームに入れた巣箱 |
ミツバチホームに入れなかった巣箱 |
【得られたデータ】
●温度推移
折れ線グラフは検証期間の一部を抜粋したものですが、下の表は検証期間約3ヶ月間をとおした最高気温と最低気温を示したものです。
『ミツバチホーム』を使用すると最高気温と最低気温の差が少なく、温度の上昇/低下を抑えることができています。
すなわち巣箱内の温度を一定に保つ効果があると判断いたします。
●ミツバチの状態
検証開始から3ヶ月後の写真です。
ミツバチホーム使用 成虫の数 多 |
ミツバチホーム使用 蜂児 多 |
ミツバチホーム未使用 成虫の数 少 |
ミツバチホーム未使用 蜂児なし |
検証を始めた時は共に成虫は8000匹程度、蜂児は4000匹程度いたにも拘らず、3ヶ月が経過すると差は歴然となりました。
『ミツバチホーム』を使用した群はおおよそ成虫5000匹いました。一方で未使用の群はおおよそ成虫1000匹まで減っていました。
また特筆すべき点は蜂児の数です。『ミツバチホーム』を使用した群の方が圧倒的に多いです。
蜂児は次の世代の働き蜂ですので、花粉交配用としての使用期間に大きく差が出る事は間違いありません。
ミツバチの数に差が出た要因として考えられることは女王蜂が休卵しなかったのではないかと推測できます。
女王蜂は毎日卵を産みますが、夏場や冬場は産卵をやめる(休卵)ことがあります。
しかし『ミツバチホーム』を使用することで巣箱内の温度が一定に保たれて暮らしやすい環境であった為に休卵しなかったのではないかと考えます。
●巣箱内の状態
『ミツバチホーム』を使用しなかった巣箱の中には少量の水が溜まっていて湿気が多くカビが発生していました。恐らく雨水が巣箱内に侵入したことによるものと考えられます。
一方で『ミツバチホーム』を使用した巣箱の中には水は溜まっていませんでした。多少湿気はありましたがカビの発生はありませんでした。
また『ミツバチホーム』の中にも水は溜まっていませんでしたので雨よけとしても使用できると確認できました。
【検証結果】
①『ミツバチホーム』を使用することで巣箱内の温度上昇・低下を抑制する効果があると確認できました。これはミツバチが暮らすうえで快適な温度帯を維持することができると言えます。その裏付けとして成虫の数、及び蜂児の数が維持されていました。
②『ミツバチホーム』を使用することで雨避けとしての効果があると確認できました。
【結論】
花粉交配用としてミツバチを使用する場合、受粉を円滑に行ってもらうためにミツバチが快適に暮らせる温度を維持することが重要であり、そのために『ミツバチホーム』を利用することは有効であると言えます。今回の検証で『ミツバチホーム』は年間通してご利用頂けると確認できました。
らくらく交配シリーズをご利用の際は合わせて『ミツバチホーム』をお使い頂くことをお勧めいたします。
『ミツバチホーム』にはらくらく交配巣箱を入れたまま持ち運びできるよう持ち手紐がついていますし、出入口開閉シャッターも装備されていますので使い勝手も良好です。
ハウスの中でも露地でもご使用頂けますので是非ともご検討ください。
ではまた。
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